伝統工芸の工房を見学してきました。
2006年7月29日
Category : 日記
漆塗り
昨日は朝早くから夜遅くまで仕事で名古屋市周辺の伝統工芸師の皆さん13名の方の取材をして回りました。その中には漆塗りの職人さんもおられ、なんとその方はNHKでも紹介されたことがあるそうです。ちょうどこの日は大きなお仏壇に漆を塗られておりました。
なんでプラモ日記に伝統工芸の話を書くかと言うと、その漆塗りの行程がプラモとよく似ていたからなんです。
木工細工をされる彫り物師さんとか木地師さんたちから届いたお仏壇のパーツはここで最初に表面をキレイにならされます。とくに最終工程で研ぎ出しをする場合は特に念入りに表面処理をするそうです。
そしておなじみサーフェイサーを塗ります。塗ってはサンドペーパーで表面をならし、また繰り返しサーフェイサーを塗る、これを繰り返して平らにするそうです。あのテカテカの表面はこうして作られるのですね。
そしていよいよ漆塗りです。最初は本漆ではなく、カシューナッツ(あのチョコレートに入ってるやつ?)の実から作ったカシュー漆で下塗りします。そして表面を削ります。ただし、今度はサンドペーパーではなく、油桐という桐の木を焼いて作った炭でこすって表面を削るそうです。こうしてツルツルに仕上げられ、最後に漆を丁寧に塗っていきます。よほど目をこらさないと分からないくらい筆跡もなく平らに塗られていきます。つや消し塗装なら筆跡をめだたなくすることもできそうですが、ツヤ有り塗装でこれだけの表面を作るのですから、さすがは伝統工芸師です。
ここで終わるものもあるのですが、さらにこの後、研ぎ出しの行程に進む物もあります。呂色師さんと呼ばれる研磨専門の職人さんに手渡されるのです。最低3ヶ月以上の乾燥期間(長ければ1年以上!)をおいて十分に乾かしてから研ぎ出しに入ります。わずか1日が待てない自分が恥ずかしいですね。はやりテカテカ塗装をしようと思ったら忍耐が必要なようです。
呂色(研ぎ出し)
桐の炭で磨きます。炭も荒い炭、細かい炭を使って何段階も磨くそうです。プラモで#1000、#1500、#2000と使ってペーパーがけするのと同じですね。そしてある程度平らになったら、最後は研磨剤を付けた柔らかい布でこすっていきます。炭でこすって小さな傷が付き白っぽくなった表面が次第に黒くなっていく様を色を出すと表現していました。研磨剤で磨くと次第に白っぽいキズが消えていきます。要するにコンパウンドで磨いてるのと同じですよね。そして最終工程では手の平で磨くそうです。ものすごくピッカピカになりますよね。すごいもんです。
こちらの職人さんが言われたのですが、研ぎ出しを前提とした漆塗りの場合は研ぎ出しをしないときよりも堅めの漆を塗るそうです。表面に筆の跡が付きやすくなるのですが、それは研ぎ出しで平らにできますから問題じゃないそうです。逆に研ぎ出しをしないときは表面が平らになりやすい柔らかい漆を使うそうです。ただし、どちらの場合も重要なのは一番最初の木の段階での表面処理だそうです。これがなっていないとどうにもならないそうです。いつも表面処理をいい加減にしてすませている生皮モデラーとしては耳が痛い話でした。
それにしても、私がプラモを作っていると知らないクライアントは、なんでこんなに塗装工程の話を根掘り葉掘り聞いているのだろうと不思議だったのでしょうね。
蒔絵
蒔絵師さんが塗っている金粉とそれを固定する泥のようなものもすごく興味があります。今作っている Bianchi をこの金粉で塗ったらさぞかしゴーンジャスでしょうね。なんたって本物の金ですからね。輝きの優雅さが違いますよ。それにこの筆なんだかごく使いやすそう。毛足の長さが調整できるんですよ。高そうです。
他にも木工細工とか金物の細工師さんなど興味のある仕事がいっぱい。楽しい一日でした。みなさんありがとうございました。
(全作品完成まで あと10)
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