アメリカ・M4A3シャーマン 105mm榴弾砲搭載型 Op.249 制作開始
2011年6月16日
Category : AFV アメリカTags : M4シャーマン
タミヤのMMシリーズのキットをそのまま使ってジオラマを作るという企画、私にとってはジオラマ作りはたいていこの方法(タミヤとは限りませんが・・・)ですから特に目新しいことでは無く、いつもやっていることなんですね。タミヤのMMシリーズのキットは車輌に数体のフィギュアが組み合わされたキットも多く、それらはキットだけでこの箱絵のように一つの物語のシーンとして成立しています。しかもカッコいい・・・
さて、この企画が決まったのが静岡ホビーショーのチョイ前です。タミヤを買うならタミヤ本社が解放されるオープンハウスですよね。地下の売り場に積まれたプラモはみんな半額!!ここでお題のキットを物色してきました。
選んだのはこのM4A3シャーマン105mm榴弾砲搭載型のキットです。シリーズのナンバーは251ですから特別新しいわけでも無く、古くも無くといったところでしょうか。冬期迷彩のシャーマンに冬服のアメリカ兵、カッコいいですね。
アメリカ軍がヨーロッパ戦線(イタリアを除く)に参戦したのは1944年6月のノルマンディ上陸からですから、このような冬装束をしていたのは1944年の年末から翌年の春先にかけてのワンシーズンだけです。こんな風に冬装束のアメリカ軍を再現するだけでも自分でキットを選択するとなると車輌もフィギュアもなかなか考証が大変ですが、今回のようにセットを使用すればあまり深く考えなくても大丈夫なので、私のような考証苦手モデラー向けですよね(笑)。
さて、1944年から翌年にかけての冬と言えばアレですよ、アレ。そう映画『バルジ大作戦』で有名なアルデンヌの戦い、ドイツでは『ラインの守り作戦』ですね。
ドイツ本土を目前にして伸びきった補給路を確保するために連合軍は1944年に『マーケットガーデン作戦』を行うが、大失敗(こちらは映画『遠すぎた橋』ですね)。その後戦線は膠着します。ヒトラーはその機に乗じて最新鋭のキングタイガー戦車を大量に投入し、アルデンヌの森を一気に駆け抜けベルギーまで進撃し、連合軍を分断し戦局を一気にひっくり返そうと考えました。
最初ドイツ軍は猛進撃をするのですが、兵器は最新鋭でも兵士達の練度が低く、さらに燃料不足は決定的で、作戦の当初から連合軍の燃料を奪って進軍するという不安定な計画だったため、結局動けなくなった戦車を放棄して逃げ帰るという結果に終わってしまいます。
ベルギーの町バストーニュの101空挺師団は強力なドイツ軍に包囲され、孤立します。しかしドイツ軍の降伏勧告を跳ね返しひたすら堪え忍びます。そしてついにパットン将軍率いる救援部隊がドイツ軍の包囲網を破りバストーニュを解放しました。
今回はそんな情景を思い浮かべながら制作します。でも、付属のデカールの第6機甲師団第69戦車大隊ってのはその救出部隊なんでしょうか・・・考証は苦手です(+_+)\バキッ!
この写真はキットのパッケージの横に印刷されているジオラマの作例です。写真には注意書きとして「情景ベースはキットに含まれません」とありますが、逆に言えば情景ベース以外は全てキットに含まれるということです。
このようにキットには装備品のランナーが複数付属しています。アメリカ軍の戦車と言えば荷物満載で進軍する姿が象徴的ですが、満載とまではいかないまでも、それらしい姿をキットの内容物だけで再現できるのです。
まぁ、緊迫した雰囲気の歩兵達にくらべて、戦車兵のフィギュアの緊張感の無さはチョット・・・ですが、それはまぁ、あとから考えることとしましょう。それにしてもこの作例、箱絵のまんまですよね。カッコイイ~♪
車体下部の組立て
今回のテーマはジオラマ作りですから、ディテールアップはほどほどにという御触れが出ています。市販のエッチングパーツセットを買ってくるなんてのはもっての他ですが、簡単にできることはやってみましょう。
これは車体の前部ですが、牽引ワイヤーを引っかけるフックがあります。ところがここが一体で成形されているために、穴が開いていません。これをまず何とかしましょう。
中央に穴を開けるにもこのままではドリルの歯を当てることもできません。そこでまずパーツごと切り取り、穴を開けてからもう一度接着しなおします。接着する際に隙間ができてしまいますが、そこにはエポパテで作った溶接の痕をつけてごまかします。一石二鳥ですね。さらに箱絵に載っていた板をプラ板で作って貼り付けました。
これは転輪のボギーです。一番上には履帯を滑らせる板がついているのですが、これが金型からの抜き取りやすさを確保するためにテーパーがついており、中央部が膨らんでしまっています。ここはヤスリでごしごしと削って平らにしてやるとカッコいいですね。さらに本来ならかなり薄いので、パーツを壊さない程度に薄々攻撃をするとよりイイでしょう。
さらにボギーには下にボルトが3つ並んでいるのが箱絵で確認できます。タミヤの箱絵はしっかりと描かれているのでいい参考資料になりますよね。ここにボルトを埋めるために0.6mmの穴を3つずつ開けておきます。
ボルトとして使ったのはこれです。市販のディテールアップパーツは本当は御法度ですが、これくらいは許して<(_ _)>
レジン製のボルトでして、必要な長さにカットして差し込めばボルトヘッドになります。今回使ったのはナット側でして、ボルトの先がナットから飛び出しています。
できあがったボギーはこんな風になりました。サスペンションの腕には6角ボルトの頭が埋まっていますが、こちらも省略されています。こちらは少し小ぶりなので、0.5mmの六角プラ棒を輪切りにして使いました。
履帯はキットのベルト式履帯を使います。ただし、少々長さが長すぎるみたいでダブダブだったので、一コマ切り詰めて使いました。パンっと張ってシャーマンらしくなりましたね。
排気管です。左が未加工で右が厚みをできる限り薄く削ったモノです。断面が白くなっているのは、削るときにわかりやすいように白い塗料で塗ってあるからです。こうするだけで非常にわかりやすくなります。
デザインナイフの刃も入れられないほどの狭い隙間を広げるのにハンドリューターとバードリルはかなり役に立ちます。周囲を薄く削るだけで無く、ついでに深く彫ることもできるので、結構リアルになるんですよ。
でも、実はここってこの上に別のパーツで覆われるので、ほとんど見えなくなります(T_T)。
(全作品完成まで あと97)
この記事は i-modellers第4号に掲載された記事 を再編集したものです。
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