フィンランド・突撃砲BT42 Op.251 制作開始
2011年7月28日
Category : AFV フィンランドTags : BT42
主だった人気車輌は出尽くした感のある1/35AFVで、おいしいところは全部中国勢に持って行かれて最近あまりパッとしないタミヤが、この夏の新製品として投入したのがフィンランド軍の突撃砲BT-42です。このあまりにもな選択にビックリして、タミヤなのに仕入れなかった模型店もあったりするとかしないとか・・・
ただ、自走砲好きの私にとっては結構うれしかったりします。とはいえ、ホントの事を言うと、こんな車輌があったなんてつい最近まで知りませんでしたけどね(笑)。
突撃砲と言ってもこのBT-42は回転砲塔を備えており、見たところ戦車なんですが、たぶん砲塔の装甲がかなりペラペラで戦車と呼ぶには防御力に難点があったんでしょうね。
第2次世界大戦はドイツが一方的に他国を攻めた様に思われていますが、実は開戦当時ソ連軍も同時にポーランドに攻め入っていますし、その3ヵ月後にはフィンランドにも侵攻しています。ソ連は連合国の一員として世界の平和をナチの脅威から守ったことになっているのですが、その実はナチスを非難することはできないんですね。
その時のソ連とフィンランドの間に開かれた戦争が冬戦争と呼ばれる戦争で、まともな戦車を持たないフィンランドが多くの犠牲を出しながらも辛くもソ連軍を追い払いました。
冬戦争が終わって多くのソ連軍戦車がフィンランド国内に置き去りになったので、フィンランド軍はこれを鹵獲(ろかく:いただいちゃうんですね)して使うことにしました。
BT-47はそんな置き去りにされた戦車の中から旧式となったBT-7をベースにイギリス製の114mm榴弾砲を搭載して作られました。砲塔はBT-7の砲塔に大きな箱を取り付けて巨大な114mm砲がおさまるように改造されたのです。
BT-42は全部で18輛が作られ、独ソ開戦にともないにフィンランド軍はドイツ軍と共に再びソ連軍と戦うこととなりました。しかしより強力になったソ連軍のJS-2やT-34にはまるで歯が立たなかったそうです。それでも生き残ったBT-42は戦後もフィンランド軍に登録されていたそうです。大戦後は戦争が無くってよかったですね。
キットには今の時代に合わせてエンジンデッキのメッシュやクリアパーツが入っています。これくらいはしないとドラゴンとかのキットと比べて見劣りしてしまいますからね。エッチングパーツは曲げ加工がやりやすいように治具が入っており、エッチングパーツの扱いに不慣れな初心者にも優しくなっています。でもこのステンレス製のエッチングパーツは切り取りも大変で、私はあまり好きじゃありませんけどね。
クリアパーツは運転席の窓以外は使いません。ゴーグルやヘッドライトのレンズは他で使えるかもしれませんね。
キットには繊細な溶接の痕もキッチリと表現されています。溶接痕などの表現の自然さはさすがにタミヤです。
金型の抜きの関係でシャープに再現できないリベットのヘッドなんかは別パーツになっているのですが、細かなリベットを1個ずつ植えなくてもいいように裏からまとめて付けられるように工夫されています。こんな配慮もタミヤらしくていいですね。
タミヤのキットには必ずフィギュアが付属します。今回は世にも珍しい(笑)フィンランド軍の戦車兵です。ちょっとウレシイですよね。
履帯の組立て
履帯は最近のタミヤスタンダードで部分連結式です。完全にバラバラになっている組み立て式履帯に比べると作業は大幅に楽ちんです。
履帯は一度全部を1本につないで、しばらく放置して接着剤が固まりかけてきてから巻き付けました。いつものドラゴンと同じようなやり方ですね。
この段階では履帯とホイールは接着していません。塗装の時に一度バラバラにして塗り分け、もう一度組み立てたときに弛みを再現するように中央の2つの転輪に履帯を接着する予定です。
この戦車の転輪はBT-7同様に非常にユニークでして、第1転輪は操舵装置が付いているために特殊な軸受けになっています。要はタイヤ走行ができるように舵が切れるようになっているんですね。
そして第4転輪の軸受けが大きいのはやはりタイヤ走行時にこれが動輪になるために太い軸受けになっているためです。
ちなみにタイヤ走行時、履帯は折りたたんでフェンダーの上にのせられたそうです。
車体の組立て
フロントのフェンダーを取り付けるために一度履帯とホイールを取り外します。さすがにはめたままでは取り付けることが出来ませんでした。押さえるための指が入りません。
右の写真の履帯は向きが逆ですね。曲率が小さい(緩くカーブしている)方が後ろの起動輪です。ソ連戦車の誘導輪はすごく小さいですからね。曲率が大きくなります。
牽引ワイヤーはナイロンの糸が入っています。説明書の指示どおり95mmの長さで切断したのですが、少し長いようですね。
排気管の口は最初から非常に薄く成形されています。この写真の状態ってキットのままなんですよ。
砲塔の組立て
砲塔です。BT-7の砲塔に箱をかぶせて拡張したためになんだかとっても不格好ですよね。あらら、屋根の上のつり下げ用のフックが曲がってしまっています。直しておかないといけませんね。
主砲にはエッチングパーツが用意されており、繊細な仕上がりになっています。上のくの字に曲げたエッチングパーツを貼り付けるためのガイドの線がうっすらと入っているのですが、そそっかしい私はパーティングラインかと思って消してしまいました。注意してくださいね。
マズルブレーキは穴がたくさんあいた特殊な形状のモノです。キットのパーツはこの穴が貫通していないのですが、小さいのでそのままにしても大丈夫です。実車の写真を見ても穴が貫通しているかどうかまでは分かりません。もちろん実際には貫通していますけどね。
それより砲身の下の駐退復座機のカバーの先頭部分にある合わせ目をキッチリと消すことの方が重要です。ここは目立つので、しっかりと消しておきましょう。
組立て完了
これにて組み立てが完了です。塗装の手間を考えて砲塔や車体の天板はまだ仮組み状態です。とりあえず室内を塗装してから貼り合わせですね。
写真には写っていませんが、もちろんホイールや履帯も組み立ては完了しています。ホントは仮組みして写真を撮りたかったのですが、履帯が細くて弱そうだったのであきらめました。
(全作品完成まで あと96)
この記事は i-modellers 第3号に掲載された記事 を再編集したものです。
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